ウジ虫と呼ばれて

人生

思春期に入り
僕は女子を意識するように
なっていくのである。

クラスの人気者の女子Mちゃんが
好きになり

僕なりに自己アピール作戦を
決行するのだった。

とは言っても、内気な僕は
直接話しかけることはできなかった。

なので
ラブレターを書こう。

Mちゃんは歌手の◯◯◯が
好きだという情報をゲットした僕は

雑誌「明星」の付録に
ついていた
歌手◯◯◯のポスターを

ラブレターと一緒に渡したのである。

面と向かって
Mちゃんに話をすればいいのに

僕は何を話せばいいのか
わからなかったのである。

ラブレターの文章は
何を書いたのか覚えてはいないけど

おそらく
Mちゃんの気を引こうという
顔から火が出るほど恥ずかしい文章が
書かれていたんじゃないかな。

客観的に見てみよう。

なんとも気持ちの悪い行動ではないか。

僕がMちゃんの立場だったら
拒否するだろう。

いきなりラブレターはまずかったな。
自己中すぎる。

相手の気持ちを早く知りたくても

恋愛のステップ1は
まず、会話からだぞ。

不器用でも
話しかけることから始めるのが
自然な流れではなかろうか。

なので

Mちゃんからは

「ウジ虫」

と呼ばれていたらしい。

ウジ虫・・・

もはや人ではない。

このことがきっかけで

僕はあっさりMちゃんを
諦めたのである。

この頃

おニャン子クラブの中で

国生さゆりが

「バレンタイン・キッス」

で大ブレイクしていた。

僕は、おニャン子クラブの大ファンだったので

バレンタイン・キッスで
勝手にテンションが上がっていた。

時期的にもバレンタインシーズンである。

迎えたバレンタインデー。

僕は女子からのチョコレートを
期待しつつ

いざ学校へ。

女子もなんだか
トキメキを感じているような
雰囲気である。

休み時間。

クラスメートと一緒に
喋っていたその時、

1人の女子が
僕たちに近づいてきて

僕は心臓がバクバクしてきた。

えっ!僕にチョコレート!

じゃなくて・・・

一緒にいたクラスメートが
本命チョコをもらったのだ。

僕じゃなかったか・・・

休み時間も終わり
期待感が徐々に薄れていく。

義理でもいい
誰か僕にチョコレートくれ!

ギブミーチョコレート!

だが

誰一人
僕にチョコレートを
くれる女子はいなかった。

トホホ・・・

その日は
チョコをもらえなかった
悔しさで

僕は落ち込んでしまった。

たかがチョコレートである。

なんとも
器の小さいガキだろうか。

僕には

おニャン子がいる!

そして

「スケバン刑事Ⅱ」

である。

この2つの存在は

僕にとって
とても大きかった。

おニャン子は

会員番号の歌で

会員番号と名前を完璧に覚えたし

麻宮サキのヨーヨーで
敵を倒すシーンに

トキめいた。

僕は、友達と遊ぶよりも

テレビの中の人たちに
憧れていたのである。

通知表にも

先生のコメントで

「休み時間に友達と遊ぶより

テレビのことに興味があるようです」

と書かれていたのを覚えている。

 

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