まさかりシュート

人生

夏休みの間
特別メニューをやってからの
バスケ部の練習である。

基礎体力をつけるために
陸上部と合同で走り込みの
トレーニングである。

「インターバル方法」

というやつで

300m全力で走ったら
50mジョグで流して
そしてまた300m全力で
50mジョグで流して

これを繰り返しやるのである。

時間にして小一時間だが
これがキツいのなんのって

中学1年生は
身体は成長過程である。

骨格も筋肉も完全に出来上がっていない。

走るフォームもなんとなくぎこちない。

ただガムシャラにやるしかなかった。

これが終わらないと

バスケ部の練習へ参加できないのである。

この練習は

顧問の先生から言われた

特別メニューであった。

キツいから

部活に来ないメンバーもいたっけな。

猛暑とまではいかないが
30度を超える炎天下での
走り込みである。

汗をかくし、喉が乾く。

疲れたら座って休憩したくなる。

しかし

水は飲めないし、
座ることもできない。

鬼のしごき
とまではいかないが

僕たちバスケ部にはキツいメニューであった。

キツい、もうイヤだ、心折れそう・・・

バスケ部を選んで失敗したな・・・

キツすぎて吐きそうになることもあった。

僕たちは
なぜこの練習が必要で

この練習をすることで
バスケにおいてどんな効果があるのかを
理解できていなかった。

もしかしたら
顧問の先生から事前に説明が
あったのかもしれないが
はっきりと覚えていない。

この頃はまだ
走ることが好きではなかったため

インターバルの練習は
キツいだけだった。

もしかしたら、走り方に問題が
あったかもしれないし、
シューズも学校指定の通学用シューズである。

ランニングシューズで
走ればもっと足の運びも
よくなったかもしれない。

今は過去の振り返りなので

こうやって自分の軌跡を
見ていくと

あの時ああしておけば
もっと良くなった。

限界を超えるところまで
行っていなかった。

色々な気づきが生まれてくる。

今となってはあの時のことを
再現するのは難しいが

大人になった分
ちゃんと自分のやってきたことを
分析して

自分に対してコーチできそうな
気がする。

バスケに話を戻そう。

バスケは重心を低くして
ディフェンスするため
サイドステップやクロスステップの
練習メニューもあった。

華麗なシュートがバスケの見どころだが
シュートを打つためには
ディフェンスもしっかりやる必要がある。

相手に簡単にシュートを打たせない。
強いディフェンスも不可欠なのだ。

そのためには
地味な練習の積み重ねで
プレイひとつひとつを身体に覚えさせ
繰り返し練習していくしかない。

その地味な練習を、僕たちは
できていなかったと思う。

僕はある先輩のプレイを真似して
みようと思い

ミドルシュートのフォームを

「まさかりフォーム」

にした。

バドミントンの時と同じく

僕は、「まさかり」が好きらしい。

先輩は意図的にこのまさかりフォームを
やっていたらしく

僕に限っては
その本質が理解できていない。

ただフォームを真似ているだけである。

まさかりのように
ある意味、力任せなシュートである。

ボールコントロールが
上手くできないのである・・・

シュートは下半身の力によって
ボールを押し出すように
するのだが

まさかりはボールを放り投げる
形に近い。

これではシュートが決まらない・・・

まさかりは試合では使えない・・・
まさかった瞬間に、

相手に後ろからボールを
叩かれることもある。

シュート体制に入るのにも
時間がかかる。

僕にとってはデメリットしかなかった。

基本に戻ろう・・・

僕はおでこの前にボールをセットし直して

「左手はそえるだけ」

にしたのである。

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